ほとんどの化粧水や乳液に入っている「グリセリン」。名前はよく見るのに、何をする成分なのか説明できる方は意外と少ないのではないでしょうか。
美肌プロは「良い・悪い」を決めません。判断の材料をそろえるのが仕事です。この記事ではグリセリンの保湿のしくみと種類、安全性を正直にお伝えします。
グリセリンは動植物の油脂にも含まれる代表的な保湿成分です。空気中や角層の水分を抱え込む力が高く、肌のうるおいを保つ目的で幅広く使われています。
水になじむ部分を3つ持つ構造で角層に入り込んで水分をつなぎとめる仲介役を果たします。化粧品の定番中の定番といえる成分です。
| 基本情報 | 内容 |
|---|---|
| 由来 | 動植物の油脂に含まれる。発酵などで製造 |
| 種類 | グリセリン(84〜87%)・濃グリセリン(95%)など |
| 主な役割 | 保湿・保水・溶剤・温感付与 |
| 主な使用製品 | 化粧水・乳液・クリーム・パックなど |
| 美肌プロ毒性評価 | A |
医薬部外品では純度で呼び分けます。「グリセリン」は84〜87%、「濃グリセリン」は95%ほどの純度です。化粧品の表示ではどちらも「グリセリン」と書かれます。
中身は同じ成分なので濃グリセリンだから特別に優れているというわけではありません。
グリセリンは水に触れるとほんのり温かく感じる性質があります。この温感を生かすため水をほとんど含まずグリセリンを多めに配合した温感クレンジングなどもあります。
一方で高濃度のグリセリンは湿度の低い環境で肌の水分を引き寄せすぎることもあるため多くの製品では水分とバランスよく配合されています。
近年「グリセリンフリー」をうたうスキンケアを見かけるようになりました。グリセリンがニキビの原因菌の栄養になり、ニキビや毛穴詰まりにつながるという考え方が背景にあります。
ただこの説を強く裏付ける研究データは今のところ見当たりません。実際の肌でグリセリンがニキビを悪化させると直接示した研究は確認できず、あくまで仮説の段階といえます。
一方で「グリセリンが合わない」と感じる方が一定数いるのも事実です。ニキビや毛穴詰まりを繰り返していて原因が思い当たらないときに、グリセリン控えめの製品を一定期間試してみるのは選択肢の一つです。
注意したいのは「フリーだから誰にでも良い」わけではない点です。グリセリンは50年以上使われてきた保湿の基本成分で避けると乾燥しやすくなることもあります。肌の様子を見ながら自分に合うかで判断するのが現実的です。
化粧品の全成分をチェックする
手元の化粧品も調べてみませんか。美肌プロ毒性評価が出ます。
グリセリンは420名を対象にした50%水溶液の試験、33名を対象にした25%溶液の試験のいずれでも皮膚刺激がみられず、48名の試験で感作反応も確認されていません。50年以上の使用実績があり食品添加物にも指定されています。
| 評価項目 | 内容 |
|---|---|
| 皮膚刺激性 | ほとんどなし(420名・33名の試験で確認) |
| 皮膚感作性 | ほとんどなし(48名の試験で確認) |
| 他分野での収載 | 食品添加物に指定・日本薬局方に収載 |
| 使用実績 | 50年以上 |
なお食品添加物に指定されていることは食品としての扱いを示すもので肌につけたときの安全性の根拠ではありません。上の判断はいずれも皮膚での試験によるものです。
グリセリンは水分を引き寄せてとどめる保湿成分です。似た役割の成分が同じ製品に並ぶことも多く、使い分けには理由があります。
| 組み合わせ | 理由 |
|---|---|
| BG(1,3-ブチレングリコール) | BGはみずみずしい感触。しっとり感の強いグリセリンと組み合わせて質感を調整する |
| ジグリセリン | グリセリンを2つつないだ成分。ベタつきが少ないので重さを抑えたいときに併用される |
| 水を含むほとんどの処方 | 化粧水から乳液、シャンプーまで幅広く使われる定番の保湿成分 |
| 組み合わせ | 理由 |
|---|---|
| ベタつきが苦手なとき | BGよりしっとり感が強いため配合量が多いと重く感じることがある |
| 似た保湿成分が複数並ぶ | 役割が近いので数が多い=保湿力が高いという意味ではない |
成分表示でグリセリンを見つけたらBGやジグリセリンも一緒に入っていないか探してみてください。質感をどう作っているかが見えてきます。
グリセリンについて公開されている試験では大きな問題は出ていません。ただし、次に該当する方はグリセリンの表示を確認しておきたいところです。
当てはまらなければ420名の試験で刺激が出ていない保湿の定番として使って構いません。
Q. グリセリンと濃グリセリンは違う成分ですか?
A. 同じ成分で純度が違うだけです。化粧品の表示ではどちらも「グリセリン」と書かれます。
Q. たくさん入っているほど保湿されますか?
A. 必ずしもそうではありません。水分とのバランスが大切で高濃度すぎるとかえって扱いにくい場合もあります。
Q. ニキビや毛穴に悪いですか?
A. 強く裏付けるデータは見当たりません。油分ではなく水になじむ保湿成分で幅広い肌質で使われています。
全成分表示を開くとグリセリンは次のように並んでいます。
水、BG、ペンチレングリコール、スクワラン、トコフェロール、
グリセリン、フェノキシエタノール、香料
↑ここ
成分表示の上位に「グリセリン」があればうるおいを保つ保湿成分がしっかり入っている目安になります。化粧品の定番成分と考えて大丈夫です。
美肌プロの成分データベースではグリセリンの詳細と安全性評価を確認できます。お使いの化粧水や乳液の全成分表示と照らし合わせてチェックしてみてください。
美肌プロの成分データベースならグリセリンの用途と安全性評価をそのまま確認できます。化粧水を1本、水のすぐ後ろを読んでみてください。グリセリンが上位にあればうるおいを抱える成分がしっかり入っている目安になります。
美肌プロは特定の成分を過度に持ち上げも否定もしません。水のすぐ後ろに何が来ているか。そこだけでも処方の方向が読めます。
化粧品の全成分をチェックする
読み終わったら、気になる1本を検索してみてください。全成分と評価が一覧で出ます。
本文の規制・安全性に関する記述は次の公的資料で確認できます。