化粧水やクリームの成分表示を見ると、上のほうに「BG」や「グリセリン」という名前が並んでいます。どちらも保湿の成分ですが、名前が違うと効果や刺激も違うのか、気になったことはありませんか。
さらに「プロパンジオール」「DPG」「ペンチレングリコール」など似た響きの名前も出てきます。全部おなじ仲間なのか、それとも意味があって使い分けられているのか。調べ始めると、かえって混乱してしまう方も多いはずです。
この記事では化粧品でよく見るこれらの保湿成分を「多価アルコール(たかアルコール)」という一つのファミリーとして整理します。使用感や刺激の傾向の違いを、断定や不安あおりを避けながら、正直に解説していきます。
BGやグリセリンは「多価アルコール」という種類の成分です。アルコールと聞くと、お酒や消毒液を思い浮かべるかもしれません。ですがここでいうアルコールは種類が違います。ツンとする刺激や、揮発してスースーする性質はほとんどありません。
多価アルコールは水となじみやすい構造をたくさん持っています。この構造が空気中や肌の水分を抱え込みます。そのため肌の表面にうるおいをとどめる「保湿成分」として働きます。水分をつかまえて逃がしにくくする、と考えるとイメージしやすいはずです。
化粧品での役割は保湿だけではありません。溶けにくい成分を溶かす「溶剤」として働いたり、製品を長く安定させる助けをしたりもします。一部の成分には菌の増えにくい環境をつくる働きもあります。一つの成分が、いくつもの役目を兼ねているのです。
由来もさまざまです。グリセリンは植物の油などからつくられます。プロパンジオールはトウモロコシ由来の原料からつくる方法が広がっています。BGやDPGは工業的に合成されるものが一般的です。植物由来かどうかは成分名だけでは判断できません。
ここからは代表的な多価アルコールの違いを見ていきます。まずは全体像を表で整理します。使用感は配合量や組み合わせでも変わるためあくまで一般的な傾向としてご覧ください。
| 成分名 | 表示名の例 | 使用感の傾向 | 主な役割 |
|---|---|---|---|
| グリセリン | グリセリン / 濃グリセリン | しっとり・ふっくら | 保湿 |
| BG | BG / 1,3-ブチレングリコール | さっぱり寄り | 保湿・溶剤・防腐の補助 |
| プロパンジオール | プロパンジオール / 1,3-プロパンジオール | ややさっぱり | 保湿・溶剤 |
| DPG | DPG / ジプロピレングリコール | 軽くさっぱり | 保湿・溶剤・感触調整 |
| ペンチレングリコール | ペンチレングリコール | さっぱり | 保湿・防腐の補助 |
| 1,2-ペンタンジオール | ペンタンジオール | さっぱり | 保湿・防腐の補助 |
グリセリンはもっとも古くから使われてきた保湿成分の一つです。水分を抱える力が高く、肌をしっとりふっくらとした感触にします。「濃グリセリン」は、水分の少ない純度の高いグリセリンを指す表示名で、働きは同じ仲間です。乾燥が気になる季節のスキンケアで、よく見かけます。
BGは「ブチレングリコール」の略です。グリセリンよりも軽く、さっぱりした感触になりやすい成分です。植物エキスを溶かし出す溶剤としても使われます。保湿とベースづくりを両立できるため多くの化粧水で採用されています。ベタつきが苦手な方の製品に選ばれやすい傾向があります。
プロパンジオールはBGと似た役割を持つ比較的新しい成分です。植物由来の原料でつくれる点から採用する製品が増えています。使用感はBGとグリセリンの中間のような、ややさっぱりとした印象です。他の成分を溶かす力もあり、ベースづくりに役立ちます。
DPGは「ジプロピレングリコール」の略です。軽くさっぱりした感触で、化粧品の伸びをよくする目的でも使われます。乳液やクリームだけでなく、日焼け止めやメイク製品にも幅広く配合されます。感触を軽く仕上げたいときに役立つ成分です。
ペンチレングリコールや1,2-ペンタンジオールは保湿しながら製品を清潔に保つ助けをする成分です。菌の増えにくい環境をつくる働きがあるため防腐剤の量をおさえたい製品で選ばれることがあります。「防腐剤フリー」をうたう製品の一部で、この役割を担っています。
「エチルヘキシルグリセリン」や「グリセリンエチルヘキシルエーテル」は、名前にグリセリンが入っています。ですが単なる保湿というより、製品を清潔に保つ助けや、感触を整える目的で少量使われることが多い成分です。名前が似ていても役割は少し異なる、と覚えておくと混乱しにくくなります。
結論から言うと、これらの多価アルコールは化粧品で長く使われてきた成分です。多くの人にとって、通常の使い方で大きな問題が起きにくい成分です。とはいえ肌質は人それぞれです。ここでは良い面と注意点の両方を、正直にお伝えします。
まず旧表示指定成分について。かつて日本ではアレルギーなどの報告があった成分を表示する制度がありました。BG・グリセリン・プロパンジオール・DPGといった代表的な多価アルコールはこの指定成分には含まれていませんでした。この点は判断材料の一つになります。
刺激については成分ごとに傾向の差があります。一般に、グリセリンやBGは刺激が起きにくいとされます。一方でペンチレングリコールなどは濃く配合されるとまれにヒリつきを感じる人がいる、という声もあります。感じ方には個人差があり、すべての人に当てはまるわけではありません。
「絶対に刺激が出ない」とはどの成分でも言い切れません。体調や肌の状態によって、いつもは平気な成分でも合わないことがあります。ここで大切なのは成分名だけで「危険」「安全」と決めつけないことです。自分の肌で少しずつ確かめる姿勢が役立ちます。
この記事で扱った多価アルコール系の毒性評価を並べます。いずれもAでした。
| 成分 | 美肌プロ毒性評価 |
|---|---|
| グリセリン | A |
| BG(1,3-ブチレングリコール) | A |
| 濃グリセリン | A |
| 1,3-プロパンジオール | A |
| DPG(ジプロピレングリコール) | A |
| ペンチレングリコール | A |
| ペンチレングリコール-2 | A |
| 1,2-ペンタンジオール | A |
| エチルヘキシルグリセリン | A |
| グリセリンエチルヘキシルエーテル | A |
ネットでは「グリセリンは肌に悪い」「BGは危険」といった声を見かけることがあります。こうした情報に不安になった方もいるかもしれません。ここで、代表的な誤解を正直に整理します。
「アルコール=肌が乾く」というイメージがあります。ですが乾燥のもとになるのはエタノールのような揮発するアルコールです。グリセリンやBGは揮発しにくく、むしろ水分を抱える保湿成分です。同じ「アルコール」でも性質はまったく違います。
グリセリンが菌のエサになりニキビが悪化する、という説を見ることがあります。これは研究段階の話で、日常のスキンケアにそのまま当てはまるとは言い切れません。多くの製品で問題なく使われている実績があります。気になる場合は自分の肌での様子を見て判断するのが現実的です。
「合成は危険、天然は良い」と単純に分けるのは正確ではありません。由来がどこであっても精製された成分の性質は同じです。天然由来でも肌に合わない人はいますし、合成でも穏やかな成分は多くあります。由来だけで良し悪しは決まらない、と考えるのがバランスの取れた見方です。
多くの人には穏やかな成分ですが、次のような方は成分表示を少し意識してみるとよいかもしれません。あくまで参考として、自分に当てはまるか確認してみてください。
心配な方は腕の内側などで少量を試す「パッチテスト」も一つの方法です。異常を感じたら使用を控え、必要に応じて専門家に相談してください。
全成分表示ではこう並びます。
水、BG、グリセリン、スクワラン、トコフェロール、
フェノキシエタノール、香料
↑ここ(BGとグリセリンは前のほうに来やすい)
化粧品には配合されている全成分を表示するルールがあります。多価アルコールは配合量が多いことが多く、水のすぐ下あたりに並びやすい成分です。「BG」「グリセリン」「DPG」などの短い名前を探すと見つけやすくなります。
成分は配合量の多い順に書かれるのが原則ですが、1%以下の成分は順不同でよいことになっています。多価アルコールは1%を超えて配合されることが多いので、上のほうにあるほど多く含まれると読んで差し支えありません。表示の並び順の意味や読み方はこちらの記事でくわしく解説しています。あわせて読むと、成分表を見る目が変わるはずです。
美肌プロでは成分ごとに役割や特徴をまとめています。この記事で紹介した成分の詳細ページは以下から確認できます。気になる成分をチェックしてみてください。
ほかの気になる成分を調べたいときは探し方の記事も役立ちます。目的から成分を探すコツをまとめています。自分に合った成分の探し方はこちらをご覧ください。
美肌プロの成分データベースなら、グリセリンの用途と安全性評価をそのまま確認できます。化粧水を1本、水のすぐ後ろに何が来ているか見てみてください。グリセリンが先ならしっとり寄り、BGが先ならさっぱり寄りの設計だと読めます。
BG・グリセリン・プロパンジオール・DPGは、どれも保湿を担う多価アルコールの仲間です。役割は近いものの使用感には違いがあります。しっとり感を求めるならグリセリン、さっぱり感ならBGやDPG、というのが大まかな目安です。
いずれも長く使われてきた成分で、多くの人には穏やかに働きます。ただし肌質には個人差があります。名前のイメージや口コミだけで決めず、自分の肌で確かめる姿勢が役立ちます。この記事が、成分表を読むときのヒントになればうれしいです。
本記事は以下の資料を参考に一般に公開されている情報の範囲でまとめています。各成分の詳しいデータは本文中でリンクした成分ページ(それぞれ出典を記載)もあわせてご確認ください。