化粧品の成分表示をながめていると「PEG-20」「PEG-75」のようにアルファベットと数字がついた名前をよく見かけます。「この数字は濃度なの?」「合成成分だから肌に良くないの?」と、ふと不安になりますよね。
PEG(ポリエチレングリコール)は、水と油をなじませたり、うるおいを保ったりするために使われる合成の水溶性成分です。化粧水から乳液、クレンジング、ヘアケアまでとても幅広く配合されています。名前の見た目がむずかしいので身構えてしまいますが、役割を知るとぐっと親しみがわきます。
この記事ではPEGのあとにつく数字の意味、安全性、そして「不純物が心配」という声への答えを、良い面と注意点の両方から正直にお伝えします。あおらず、隠さず、事実の範囲でまとめました。
PEGは「ポリエチレングリコール」の略称です。エチレングリコールという小さな分子を、鎖のようにたくさんつないでつくる合成成分です。「ポリ」は「たくさん」という意味でつないだ数が多いほど大きな分子になります。
PEGは水になじみやすい性質を持っています。この性質を生かして、化粧品ではおもに次のような役割で使われます。
PEG単体だけでなく、油になじむ部分をくっつけて改良した「誘導体(ゆうどうたい)」もたくさんあります。たとえば「ステアリン酸PEG-5グリセリル」のように長い名前のものはPEGを土台にして別の成分を組み合わせた仲間です。名前は複雑でも根っこにあるのは同じPEGです。
PEGはもともと医薬品や食品の分野でも古くから使われてきた歴史があります。化粧品でも長く使われてきた、なじみの深い成分といえます。
いちばん気になるのが、名前についた数字ではないでしょうか。結論からいうとこの数字は「配合されている量」や「濃度」ではありません。エチレングリコールを何個つないだか、というつながりの数のおおよその目安を表しています。
数字が小さいものは分子が小さく、さらっとした液状に近い傾向があります。数字が大きいものは分子が大きく、とろみやワックスのような固さが出やすくなります。おおまかなイメージを表にまとめました。
| 数字の目安 | 分子の大きさ | おおまかな性質 |
|---|---|---|
| 小さい(例:PEG-8) | 小さめ | さらっと液状に近い。溶かし込みに使いやすい |
| 中くらい(例:PEG-75) | 中くらい | とろみが出やすい。保湿や感触の調整に |
| 大きい(例:PEG-90M) | 大きめ | 固形やワックス状。とろみづけや安定化に |
末尾に「M」がつく「PEG-90M」のような表記もあります。この「M」は分子がとても大きい高分子タイプであることを示す目安です。数字だけでなくアルファベットにも意味があるわけです。
また「ポリエチレングリコール1500」のように数字が四けたの大きな値で書かれることもあります。こちらはつながりの数ではなく、分子のおおよその重さを目安にした表記の仕方です。同じPEGでも書き方のルールが違うと数字の意味も変わる点は覚えておくと混乱しません。
名前が長くても「PEG-数字」の部分が土台であることは共通です。まずはこの部分に注目するとPEGの仲間だと見分けやすくなります。
PEGは化粧品や医薬品で長い使用実績があり、一般に、通常の配合量では刺激性は低いと評価されてきた成分です。ただし「絶対に安全」「誰にも合う」と言い切れる成分は存在しません。ここでは良い面と注意点の両方をお伝えします。
健康な肌に使う分にはPEGが強い刺激を起こすことはまれです。一方で傷ややけどなどでバリアが弱っている肌に高濃度で使うと刺激やアレルギー反応が報告される場合もあります。まれではありますが、体質によって合わない方がいる点は正直にお伝えしておきます。
「旧表示指定成分」とはかつてアレルギーなどの可能性から表示が求められていた成分のリストです。PEGそのものはこの旧表示指定成分には含まれていません。とはいえリストにないことは「刺激ゼロ」を意味するわけではなく、あくまで一つの目安です。
心配な場合は腕の内側などで少量を試すパッチテストを行うと自分の肌に合うか確かめる手がかりになります。
取り上げた成分の美肌プロ毒性評価です。同じ仲間でも評価は分かれます。
| 成分 | 美肌プロ毒性評価 |
|---|---|
| トリイソステアリン酸PEG-20グリセリル | A |
| PEG-90M | B |
| PEG-75 | A |
| ステアリン酸PEG-5グリセリル | C |
| 高重合ポリエチレングリコール | B |
| イソステアリン酸PEG-20グリセリル | C |
| ヤシ油脂肪酸PEG-7グリセリル | C |
| ポリエチレングリコール1500 | A |
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手元の化粧品も調べてみませんか。美肌プロ毒性評価が出ます。
PEGについて調べると「不純物が入っているから危険」という情報に出会うことがあります。この不安の背景を正直に整理してみます。
PEGをつくる過程では原料として反応性の高い物質が使われます。そのためつくり方によっては微量の副産物(不純物)が残る可能性が指摘されてきました。これが「不純物が心配」という声のもとになっています。
ただしこれは「PEGそのものが危険」という話とは別に考える必要があります。化粧品に使われる原料は不純物を減らす精製の工程を経て品質が管理されています。原料メーカーや製品メーカーはこうした副産物をできるだけ取り除く努力をしています。問題になりうるのは製造・精製の質です。PEGという成分の存在そのものではありません。
とはいえ副産物のリスクをどこまで下げられるかは製品ごとに差があり、一般の消費者が外から見分けるのは簡単ではありません。ここは「メーカーの品質管理を信頼するかどうか」という判断が入る部分で現在も評価が続けられている領域です。過度におそれる必要はありませんが、こうした背景があることを知っておくのは意味があります。
多くの方にとってPEGは日常的に使われている成分ですが、次のような方は少し気にかけて確認してみるとよいかもしれません。
当てはまる方は少量から試したり、パッチテストをしたりすると自分の肌との相性を確かめやすくなります。逆にこれまで問題なく使えている方が、名前の見た目だけで急にこわがる必要はありません。
Q. PEGの数字は配合量ですか?
A. 違います。分子のつながりの数や大きさの目安で量とは関係ありません。
Q. 不純物が心配だと聞きました。
A. 問題になりうるのは製造・精製の質です。PEGという成分の存在そのものの話ではありません。
Q. PEGが入っていない化粧品を選ぶべきですか?
A. 避けるべきという根拠は見当たりません。水と油をなじませる役割があるので処方の目的で選ばれています。
PEGは成分表示でこんなふうに書かれます。
水、BG、グリセリン、スクワラン、トコフェロール、
トリイソステアリン酸PEG-20グリセリル、フェノキシエタノール、香料
↑ここ
PEGは全成分表示のなかで「PEG-数字」という形で書かれます。「PEG-75」「ステアリン酸PEG-5グリセリル」のようにアルファベットの「PEG」と数字の組み合わせを探すと見つけやすくなります。
全成分表示は原則として配合量の多い順に並んでいます(1%以下の成分は順不同でよいことになっています)。PEGがリストの前のほうにあれば比較的多めに、後ろのほうなら少なめに配合されている目安になります。
成分表示そのものの読み方はこちらの記事でくわしく解説しています。あわせて読むとPEG以外の成分もぐっと見分けやすくなります。
PEGの仲間にはたくさんの種類があります。美肌プロではそれぞれの成分ごとに役割や評価をまとめています。気になる成分は以下のページから確認してみてください。
「そもそも自分に合う成分をどう探せばいいの?」という方はこちらの記事も参考になります。
美肌プロの成分データベースならPEG(ポリエチレングリコール)の用途と安全性評価をそのまま確認できます。手持ちの乳液かクレンジングで「PEG-」の付く成分を探してみてください。後ろの数字は配合量ではなく、つないだ長さの目安です。数字の大小で強さは決まりません。
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名前がむずかしく見えるPEGも役割を知れば必要以上におそれる成分ではありません。良い面と注意点の両方を知って、自分の肌に合うかどうかを落ち着いて判断していきましょう。
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