化粧水や美容液の全成分表示でよく見かける「PEG-60水添ヒマシ油」。数字と漢字が混ざった名前で、何をする成分なのか想像がつきにくいですよね。
美肌プロは「ヒマシ油=下剤」のような連想で成分を判断しません。数字の意味と試験データのほうを見ます。この記事では、PEG-n水添ヒマシ油ファミリーの正体と数字の意味、安全性のデータを正直にお伝えします。
PEG-60水添ヒマシ油は、トウゴマの種子から得られる植物油「ヒマシ油」に水素を加えて安定化させ(水添)、水になじむ部分(PEG)を付けた成分です。
主な役割は可溶化剤。油に溶けやすい香料や美容成分を、化粧水のような水ベースの製品に透明なまま溶かし込むための成分です。乳化剤としてクリームにも使われます。
| 基本情報 | 内容 |
|---|---|
| 由来 | トウゴマ種子由来のヒマシ油を水素添加し、PEGを結合させて製造 |
| 種類 | PEGの長さ(数字)違いでPEG-10〜PEG-100まで多数 |
| 主な役割 | 可溶化剤(香料などを水に溶かす)・乳化剤 |
| 主な使用製品 | 化粧水・美容液・クレンジング・日焼け止めなど |
| 美肌プロ毒性評価 | いずれもC(この記事の後半に一覧があります) |
名前の数字は、結合させたPEG(ポリエチレングリコール)のおおよその長さを表しています。数字が大きいほど水になじみやすくなり、用途が少しずつ変わります。
| 成分名 | 特徴 |
|---|---|
| PEG-10水添ヒマシ油 | 油寄り。乳化補助などに |
| PEG-30・PEG-40水添ヒマシ油 | 中間タイプ。可溶化・乳化どちらにも |
| PEG-60水添ヒマシ油 | 水寄り。化粧水の可溶化剤の定番 |
| PEG-80・PEG-100水添ヒマシ油 | さらに水寄り。洗浄系製品にも |
数字が違っても、ベースは同じ水添ヒマシ油です。製品の性質に合わせて、メーカーが使い分けているだけと考えて大丈夫です。
ヒマシ油は昔「飲む下剤」として使われた歴史があるため、名前に不安を感じる方もいるかもしれません。ですが化粧品に使われるのは肌に塗る精製済みの油で、飲む用途とはまったく別物です。
ヒマシ油自体はリップやポマードで長く使われてきた化粧品の定番オイルです。さらに水素を加えた「水添ヒマシ油」は酸化に強く安定しており、そこへPEGを付けたものがこのファミリーです。
代表格のPEG-60水添ヒマシ油は、102名を対象にしたヒト試験で、いずれの被検者にも皮膚刺激反応がみられませんでした。感作反応が出たのは1名だけで、これも再度パッチテストをしたところ陰性でした(出典: 化粧品成分オンライン)。
| 評価項目 | 内容 |
|---|---|
| 皮膚刺激性 | ほぼ非刺激(102名のヒト試験で反応なし) |
| 皮膚感作性 | ほぼ報告なし |
| 眼刺激性 | 最小限(動物試験で48時間以内に消失) |
| 使用実績 | 1970年代からの長期使用歴 |
| 美肌プロ毒性評価 | C |
出典によれば1970年代から使われており、その中で重大な健康被害の報告は、調べた範囲では見当たりませんでした。
この記事で扱ったPEG-n水添ヒマシ油の毒性評価です。数字が違ってもすべてCでした。
| 成分 | 美肌プロ毒性評価 |
|---|---|
| PEG-60水添ヒマシ油 | C |
| PEG-40水添ヒマシ油 | C |
| PEG-30水添ヒマシ油 | C |
| PEG-10水添ヒマシ油 | C |
| PEG-80水添ヒマシ油 | C |
PEG-n水添ヒマシ油の仕事は、水に溶けないものを水に溶け込ませることです。組み合わせの話は、この役割から見ると分かりやすくなります。
| 組み合わせ | 理由 |
|---|---|
| 香料・油性成分 × 化粧水 | 油分や香料を水に透明に溶かし込む可溶化剤として使われる |
| 水と油を混ぜる処方(乳液・クレンジング) | 乳化剤として水と油の橋渡しをする |
| 透明に仕上げたい製品 | 濁らせずに油分を溶かし込めるため、ミストや化粧水で選ばれる |
| 組み合わせ | 理由 |
|---|---|
| 数字違いの仲間が同時に入る | PEGの長さが違うだけで役割は近い。数字が大きい=強いという意味ではない |
| 肌が敏感なとき | 出典の試験では非刺激とされているが、感じ方には個人差がある |
成分表示でPEG-n水添ヒマシ油を見つけたら、香料やオイル成分が近くにないか探してみてください。何を溶かすために入っているかが分かります。
出典の試験データでは、皮膚刺激性・皮膚感作性ともに「ほとんどなし」と整理されています。一方で美肌プロ毒性評価は、この記事で扱った成分はいずれもCです。試験データの評価と美肌プロの評価は見ている観点が違うので、両方を材料にしてください。そのうえで、次に当てはまる方はPEG-60水添ヒマシ油の表示をチェックしてみてください。
逆に言えば、当てはまらなければ、香料や油分を水に溶かすために少量入っている成分、と読み流して構いません。
Q. 数字が大きいほど強い成分ですか?
A. 強さの順位ではありません。PEGの長さを表す数字で、大きいほど水になじみやすくなります。
Q. ヒマシ油は下剤に使われると聞きました。
A. 飲む場合の話です。化粧品用は精製されたもので、肌に塗る目的で使われます。
Q. どの製品にも同じPEG-nが入っていますか?
A. 処方の狙いによって使い分けられています。成分表示の数字まで見ると設計が読めます。
PEG-60水添ヒマシ油は、表示のうえでこの形で記載されます。
水、BG、グリセリン、スクワラン、トコフェロール、
PEG-60水添ヒマシ油、フェノキシエタノール、香料
↑ここ
「PEG-数字+水添ヒマシ油」という形の成分は、すべてこの記事で紹介したファミリーです。「POE水添ヒマシ油」という表記も同じ仲間の別名です。数字の違いに惑わされず、まとめて「水に油を溶かす係」と覚えておくと成分表示が読みやすくなります。
美肌プロの成分データベースでは、PEG-n水添ヒマシ油の各成分の詳細と安全性評価を個別に確認できます。化粧水や美容液の表示と照らし合わせてみてください。
美肌プロの成分データベースなら、PEG-60水添ヒマシ油の用途と安全性評価をそのまま確認できます。透明な化粧水を1本、「水添ヒマシ油」の文字を探してみてください。頭のPEG-の数字が大きいほど水寄りです。何を溶かすために入っているかは、近くの香料や油分から読めます。
美肌プロは「PEG-n水添ヒマシ油が入っているから悪い商品」という判断はしません。数字はPEGの長さであって、強さの順位ではありません。
本記事は以下の資料を参考に、一般に公開されている情報の範囲でまとめています。