化粧品の成分表示を見ていると「シクロペンタシロキサン」「フェニルトリメチコン」などシリコーンらしき名前がいくつも並んでいます。同じシリコーンでも名前が微妙に違い、どれがどんな役割なのか分かりにくいですよね。
ネット上では「シリコーンは毛穴に詰まる」「肌に膜を張って良くない」といった声も見かけます。一方で多くの化粧品に長年使われ続けている成分でもあります。良い面と気になる面、どちらも知っておきたいところです。
この記事ではよく知られたジメチコン以外のシリコーンにも目を向けます。揮発性のシクロペンタシロキサン、ツヤを出すフェニル系など種類ごとの違いと安全性の考え方を、良い面も注意点も正直にお伝えします。
シリコーンはケイ素と酸素を骨組みにした人工の成分です。ケイ素は砂や岩に多く含まれる元素で、それをもとに作られます。油に近い性質を持ちながら、一般的な油とは少し違う独特の使い心地が特徴です。
化粧品での主な役割は肌や髪の表面をなめらかに整えることです。塗った瞬間のさらっとした感触や、髪のツヤ、化粧崩れのしにくさなどに関わります。ファンデーション、日焼け止め、ヘアオイル、乳液など幅広い製品で使われています。
シリコーンは1種類ではなく、分子のつなぎ方や形によって数多くの種類があります。液体でさらっとしたもの、時間とともに蒸発するもの、細かい粒のような形にしたものなど目的に合わせて使い分けられています。まずはこの「種類の多さ」を知ることが理解の入口です。
シリコーンは大きく分けると、いくつかのタイプに整理できます。ここでは代表的な考え方を紹介します。難しい名前が続きますが、ざっくりした役割で捉えれば十分です。
もっとも広く使われるのがジメチコンに代表されるタイプです。成分表示では「ジメチコン」、医薬部外品では「メチルポリシロキサン」と書かれます。名前は違いますが同じものです。メチルトリメチコンもこの仲間として使われます。肌や髪の表面をなめらかに整え、さらっとした感触を出す目的でよく配合されます。
シクロペンタシロキサンやメチルトリメチコンは塗ったあと時間とともに蒸発しやすい性質を持ちます。塗った瞬間はよく伸びて軽く、その後べたつきが残りにくいのが特徴です。日焼け止めやファンデーションの使い心地づくりに役立ちます。
フェニルトリメチコンやジフェニルシロキシフェニルトリメチコンはフェニルという構造を持つタイプです。光を反射させてツヤを出しやすく、ヘアケアやメイク製品で髪や肌に濡れたような輝きを与える目的で使われます。
ジメチコンクロスポリマーや架橋型メチルポリシロキサンはシリコーン同士を網目のようにつないで、細かい粒やゲル状にしたものです。肌の凹凸をなめらかに見せたり、余分な皮脂を含ませてさらっとさせたりする目的で使われます。
| タイプ | 代表的な成分 | 主な役割 |
|---|---|---|
| 基本のシリコーン | メチルポリシロキサン、メチルトリメチコン | なめらかさ・さらっとした感触 |
| 揮発性タイプ | シクロペンタシロキサン、メチルトリメチコン | 軽い伸び・べたつきにくさ |
| ツヤ出しフェニル系 | フェニルトリメチコン、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン | 髪や肌のツヤ |
| 粒・ゲル状タイプ | ジメチコンクロスポリマー、架橋型メチルポリシロキサン | 凹凸ぼかし・さらさら感 |
このほか、テトラヒドロテトラメチルシクロテトラシロキサンのように製品の中で膜を作る手助けをする特殊な役割のシリコーンもあります。用途に応じて、これらが組み合わせて使われます。
シリコーンは化粧品に長く使われてきた成分で、一般に刺激やアレルギーを起こしにくい部類です。肌なじみがおだやかで、多くの人が使いやすいという評価になっています。ただし「誰にも絶対に合う」と断定できる成分は存在しません。まれに合わない方もいます。
日本ではかつてアレルギーなどの心配があるとして表示が義務づけられた「旧表示指定成分」という区分がありました。シリコーン類はこれに含まれていません。この点も比較的おだやかな成分と位置づけられてきた背景のひとつです。
環境への影響については一部の揮発性シリコーンをめぐって各国で議論や調査が続いています。肌への安全性の話とは別のテーマですが、研究が進んでいる段階です。ここでは断定を避け、状況が動いていることだけお伝えします。
取り上げた成分について、美肌プロ毒性評価を一覧にしました。差があることが分かります。
| 成分 | 美肌プロ毒性評価 |
|---|---|
| ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン | A |
| テトラヒドロテトラメチルシクロテトラシロキサン | A |
| シクロペンタシロキサン | A |
| 架橋型メチルポリシロキサン | B |
| フェニルトリメチコン | A |
| メチルトリメチコン | A |
| メチルポリシロキサン | B |
| ジメチコンクロスポリマー | B |
「シリコーンが毛穴に詰まる」「膜で肌が呼吸できない」という話を耳にした方もいるでしょう。結論から言うと、これらは正確な表現とは言いにくい部分があります。順番に見ていきます。
まず、肌は毛穴で呼吸しているわけではありません。酸素は主に肺から取り込まれます。そのため「膜で呼吸できなくなる」という説明は体のしくみとずれています。ここは落ち着いて捉えて大丈夫です。
「毛穴に詰まる」という点についてはシリコーン自体が毛穴を強くふさぎやすい成分とは一般には考えられていません。多くのシリコーンは水やお湯だけでは落ちにくいものの洗顔料やクレンジングで落とせます。落ちにくさと毛穴詰まりは同じ意味ではありません。
とはいえ肌質や使う量、落とし方によって感じ方は変わります。合わないと感じたときは無理に使い続けず、様子を見ることが大切です。「悪い成分」と決めつける必要も「絶対に問題ない」と思い込む必要もありません。自分の肌で確かめる姿勢が役立ちます。
当てはまる場合は成分表示を確認したり、少量から試したりすると自分に合うか判断しやすくなります。逆に使い心地が気に入っていて肌の調子も良いなら、無理に避ける理由はありません。
シリコーンの種類が成分表示のどこにあるか、例で見てみます。
水、BG、グリセリン、スクワラン、トコフェロール、
ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン、フェノキシエタノール、香料
↑ここ
シリコーンは成分表示の中で見分けやすい成分です。「〜コン」「〜シロキサン」で終わる名前が多く、ジメチコン、シクロペンタシロキサン、フェニルトリメチコンなどがその例です。この語尾を覚えておくと探しやすくなります。
全成分は原則として配合量の多い順に並びます。表示の前のほうにあれば多め、後ろのほうなら少なめの目安です。ただし1%以下の成分は順不同で書けるため位置だけで量を正確に判断はできません。表示のルールをもう少し詳しく知りたい方は成分表示の読み方の記事もあわせてご覧ください。
美肌プロでは成分ごとに役割や特徴を確認できます。この記事で触れたシリコーンの各成分ページは以下からチェックできます。
気になる成分から名前で探したいときは成分の探し方の記事も参考になります。手持ちの化粧品の成分表示と照らし合わせながら確認してみてください。
美肌プロの成分データベースなら、シリコーンの種類の用途と安全性評価をそのまま確認できます。ファンデーションかヘアオイルを1本、「〜コン」「〜シロキサン」で終わる成分を探してみてください。語尾を覚えておくと、シリコーンが何種類入っているかがすぐ数えられます。
シリコーンは1種類ではなく、揮発性・ツヤ出し・粒状など目的に応じた多くの種類があります。肌や髪をなめらかに整える役割が中心で、刺激の報告も多くありません。
「毛穴に悪い」「呼吸できない」という説明は正確とは言いにくい部分があります。一方で合う合わないには個人差があります。決めつけず、自分の肌で確かめながら選ぶことが、いちばん役立つ向き合い方です。
本記事は以下の資料を参考に一般に公開されている情報の範囲でまとめています。各成分の詳しいデータは本文中でリンクした成分ページ(それぞれ出典を記載)もあわせてご確認ください。