いま美容の話題で最も勢いのある言葉がPDRNです。韓国コスメを中心に「PDRN配合」をうたう製品が次々に登場しています。
ところが製品を裏返して全成分表示を読むとPDRNの文字がどこにもありません。初めて探した人は戸惑うはずです。
これは製品の不備ではありません。仕組みを知ると全成分表示の読み方が一段うまくなるので順番に説明しますね。
ポリデオキシリボヌクレオチド(PolyDeoxyRiboNucleotide)の頭文字を取った言葉です。中身はDNA、正確にはデオキシリボ核酸の断片を指します。
もともとは美容医療の分野で知られた言葉でした。注射の施術名として聞いたことがある方もいるかもしれません。ただし注射は医療の領域で化粧品とは制度も確かめられていることも別です。この記事では化粧品の話だけをします。
| 基本情報 | 内容 |
|---|---|
| 言葉の意味 | ポリデオキシリボヌクレオチドの略称 |
| 正体 | DNA(デオキシリボ核酸)の断片 |
| 「PDRN」という表示名称 | 日本化粧品工業会のリストに収載なし |
| リストにある核酸系の名前 | DNA-Na、DNA、加水分解DNA など |
| 美肌プロ毒性評価(DNA-Na) | A |
日本化粧品工業会の成分表示名称リストを「PDRN」で検索すると0件です。全成分表示はこのリストの名前で書くのが原則なのでパッケージにPDRNとあっても裏面には別の名前で載ります。
リストに収載されている核酸系の表示名称はたとえばこうです。
| 表示名称 | 英語名 | 公式の定義 |
|---|---|---|
| DNA-Na | Sodium DNA | デオキシリボ核酸のナトリウム塩 |
| DNA | DNA | デオキシリボ核酸 |
| 加水分解DNA | Hydrolyzed DNA | DNAを加水分解して得られたもの |
このうちDNA-Naは336件の市販化粧品で使用が確認できます。PDRNという言葉が流行するずっと前から化粧品に使われてきた成分です。
ひとつ注意があります。パッケージの「PDRN」が裏面のどの表示名称に当たるのかは製品ごとに違い、名前だけから断定はできません。裏面にDNAの文字を見つけたら「核酸系の成分が入っている」。表示から読み取れる確かな事実はここまでです。
紹介記事や広告ではサーモンDNA、サケ由来という言葉とセットで登場することが多いですよね。
ただし表示名称の公式の定義は「デオキシリボ核酸のナトリウム塩」で、由来する生き物の指定はありません。原料が何に由来するかは製品や原料メーカーごとの話です。気になる場合はブランドの公式情報で確かめてください。
名前の印象が強い成分ほど定義に戻って確かめる価値があります。
化粧品の全成分をチェックする
手元の化粧品も調べてみませんか。美肌プロ毒性評価が出ます。
データベース上のDNA-Naの配合目的は「皮膚コンディショニング剤」です。うるおいを与えて肌を整える。化粧品としての立ち位置はこの範囲にあります。
一方で「肌が再生する」「注射と同じ働きが化粧品で得られる」といった宣伝文句は化粧品で認められる表現の範囲を超えています。見かけたら一歩引いて読んでください。
公開された試験データを直接示せなかったためこの記事では効果や刺激性の数値を挙げていません。数字で語れる段階にない、が正直なところです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 使用実績 | DNA-Naは336件の市販化粧品で確認できる |
| 公開試験データ | 個別の刺激性・感作性の公開データは示せなかった |
| 美肌プロ毒性評価 | A |
評価はAで表示名称としての履歴も長い成分です。それでも初めての製品はほかの配合成分との組み合わせも含めて少量から試すのが確実です。
PDRNの正体はDNA-Naです。組み合わせの考え方もDNA-Naが水に溶ける保湿成分であることから見えてきます。
| 組み合わせ | 理由 |
|---|---|
| グリセリン・BGなどの多価アルコール | 同じ水になじむ性質どうしで処方の中でまとまりやすい |
| ヒアルロン酸Naなど他の保湿成分 | 同じ皮膚コンディショニング剤の分類。重ねづけ前提の処方に組み込まれやすい |
| カルボマーなどの増粘剤 | 美容液やジェルのとろみを支える相手として使われる |
組み合わせて避けたほうがよいという記述は資料に見当たりませんでした。裏付けのないまま埋めるのはやめておきます。
水、BG、グリセリン、DNA-Na、アラントイン、…
※ DNA-Naのように全角で書かれることもあります
目印は「DNA」の3文字です。DNA-Kや加水分解DNAなど末尾や頭の違う仲間が並ぶこともあります。
注射は医療行為で化粧品とは別の制度の上にあります。化粧品が働きかけられるのは角層までです。同じ言葉が使われていても同じ土俵では比べられません。
化粧品で認められる表現の範囲を超えた言い方です。うるおいを与えて肌を整える。化粧品として言えるのはここまででそれ以上の約束をする文章からは距離を置くのが賢明です。
全成分表示から配合量は分かりません。配合量の多い順に並ぶのが原則ですが、1%以下の成分は順不同でよいことになっています。表示の位置から読み取れるのは前半のおおまかな傾向までです。
美肌プロの成分データベースでDNA-Naの用途と評価をその場で確認できます。
「PDRN配合」の製品が手元にあるなら全成分表示のどこにDNAの名前があるか探しながら見てください。
PDRN推しの新作を見かけたらまず裏面でDNAの文字を探すところから始めてみてください。流行の言葉と表示名称のずれを自分の目で確かめられる、ちょうどいい練習台になります。
化粧品の全成分をチェックする
読み終わったら、気になる1本を検索してみてください。全成分と評価が一覧で出ます。