「韓国コスメでよく見かけるけど、アゼライン酸ってどんな成分?」という方も多いのではないでしょうか。
アゼライン酸は小麦・ライ麦・大麦などの穀類や酵母に含まれる天然の飽和ジカルボン酸です。実は私たちが普段食べているパンや醸造食品にも含まれている、身近な成分なんです。
ここで先に押さえておきたいことがあります。アゼライン酸は海外ではニキビや酒さの「医薬品」として承認されている成分です。一方で日本では化粧品の成分として配合されています。医薬品として認められている効能と、日本の化粧品でうたえる範囲はまったく別物です。この記事もその線引きに沿って書いています。
日本では長らく一般にはあまり知られていませんでしたが、2025年頃から韓国コスメブームや大手製薬会社の参入をきっかけに注目が集まっています。
| 基本情報 | 内容 |
|---|---|
| 由来 | 小麦・ライ麦・大麦・酵母などの天然成分 |
| 種類 | アゼライン酸 / アゼライン酸誘導体(アゼロイルジグリシンK) |
| 海外での承認 | 米国FDA・欧州EMAでニキビ・酒さの治療薬として承認 |
| 肌タイプ | 全肌タイプ(特にニキビ肌・敏感肌・赤み肌に向いている) |
| 美肌プロ毒性評価 | A |
化粧品に配合されるアゼライン酸には2種類あります。
| 種類 | 特徴 | 主な用途 |
|---|---|---|
| アゼライン酸 | 水に溶けにくい。クリーム・ゲルに配合されることが多い | 油性のクリーム・ゲル基剤に向く |
| アゼロイルジグリシンK(誘導体) | 水に溶けやすい。化粧水・美容液にも配合可能。肌内部でアゼライン酸に変換される | 敏感肌・刺激が気になる方向け |
成分表示を見るときに「アゼライン酸」と「アゼロイルジグリシンK」のどちらが使われているか確認するとその製品がどんな剤型を狙っているのかが見えてきます。
ここから先はアゼライン酸という成分について報告されている内容です。多くは海外で医薬品として使われるなかで調べられたもので、日本の化粧品を使えばそうなるという意味ではありません。成分の性質として読んでください。
ニキビの発症に関係するアクネ菌に対して、低いpH環境で抗菌性を示すと報告されています。アメリカでは食品医薬品局(FDA)がニキビ治療薬として承認しています。日本の化粧品では「ニキビが治る」「ニキビを改善する」といった表現は使えません。医薬品としての承認と化粧品の効能は別に考えてください。
メラニンをつくる酵素(チロシナーゼ)の働きを抑える作用があり、炎症後色素沈着を抑えたという報告があります。ただしアゼライン酸は日本で美白の有効成分として承認された成分ではありません。化粧品で「シミを防ぐ」とうたうことはできない、という位置づけです。
欧州医薬品庁(EMA)の承認を受け、ヨーロッパの多くの国で酒さの治療薬として使われています。酒さは皮膚科で診断・治療される疾患です。化粧品でどうにかするものではないので顔の赤みが続く場合は皮膚科で相談してください。
アゼライン酸により、角化細胞のトノフィラメントの数や厚み、ケラトヒアリン顆粒の数が減少するという報告があり、ケラチン前駆体の合成を抑えることで、角化細胞の分化に影響を与えて角化を抑える。これが報告されている作用のしくみです。ただしこれは実験で観察された変化で毛穴やゴワつきがどうなるかまで示したものではありません。
紫外線(UVB)によって生じる炎症性サイトカインを減少させるなどの作用で抗炎症性を持つと報告されています。
美肌プロではアゼライン酸を評価Aと評価しています。
| 評価項目 | 内容 |
|---|---|
| 美肌プロ毒性評価 | A |
| 急性毒性 | 低い |
| 遺伝毒性・催奇形性 | 催奇形性試験、遺伝毒性試験および耐性獲得試験がすべてで陰性 |
| 長期使用 | 医薬品としての長期使用試験が海外で行われている |
| 妊娠中の使用 | 使えるかどうかは自己判断せず、医師・薬剤師に相談してください |
なお妊娠中の使用について、ネット上では「アゼライン酸なら大丈夫」という書き方をよく見かけます。ただし妊娠中に何を使ってよいかは、体調も薬の服用状況も人によって違います。この記事では判断材料を示すにとどめます。実際に使うかどうかは、かかりつけの医師や薬剤師に確認してください。
使い始めのうちは赤みや痛み、かゆみといった症状が出ることがありますが、使い続けることで落ち着いていくことがほとんどです。初めて使う場合はパッチテストをしてから使い始めると落ち着いて判断できます。
化粧品の全成分をチェックする
手元の化粧品も調べてみませんか。美肌プロ毒性評価が出ます。
アゼライン酸は炎症に関わる報告のある成分です。同じ方向の成分と組むか、刺激が重ならないようにするかが要点になります。
| 組み合わせ | 理由 |
|---|---|
| ナイアシンアミド | どちらも炎症に関わる報告がある。日本では美白と抗シワの有効成分として承認されている |
| CICA(ツボクサエキス) | 働く方向が近く、同じ処方に入っていることが多い |
| セラミド・ヒアルロン酸 | 乾燥を感じたときに補う保湿成分。役割が違うので組み合わせやすい |
| 組み合わせ | 理由 |
|---|---|
| レチノール・高濃度のAHA/BHA | 刺激成分を同時に使うと負担になることがある。朝と夜で分けたい |
| 誘導体と同じものと考えること | アゼロイルジグリシンKは水になじむ形。剤型や使用感が変わる |
成分表示でアゼライン酸を見つけたら誘導体のほうではないか確かめてください。名前の頭が違います。
日本でアゼライン酸を配合した製品の多くは一般化粧品です。海外で医薬品として承認されていることと、日本での区分は関係がありません。区分によって、パッケージに書ける言葉が変わります。
医薬部外品として承認された濃度で配合されていれば承認された範囲の効果をうたえます。一般化粧品に配合されている場合はその表現は使えません。見分け方はパッケージの「医薬部外品」または「薬用」の表示です。
Q. アゼライン酸は妊娠中に使えますか?
A. 自己判断せず、医師・薬剤師に相談してください。この記事でも安全性の節で同じことをお伝えしています。
Q. アゼロイルジグリシンKとは何が違いますか?
A. アゼライン酸の誘導体です。水になじみやすく処方しやすい形で剤型や使用感が変わります。
Q. 海外で医薬品なら日本でも効きますか?
A. 海外での承認は医薬品としての話です。日本の化粧品ではその効果をうたうことはできません。
アゼライン酸は表示のうえでこの形で記載されます。
水、BG、グリセリン、スクワラン、トコフェロール、
アゼライン酸、フェノキシエタノール、香料
↑ここ
アゼライン酸そのもの → 「アゼライン酸」と記載
アゼライン酸誘導体 → 「アゼロイルジグリシンK」と記載
全成分表示は配合量の多い順に並ぶのが原則ですが、1%以下の成分は順不同でよいことになっています。位置はあくまで目安です。なお濃度が高いとピリピリ感が出やすいので初めての方は低〜中濃度の製品から試すほうが様子を見やすいと思います。
アゼライン酸(またはアゼロイルジグリシンK)が配合された商品の全成分と毒性評価をデータベースで確認できます。他にどんな成分が配合されているかも合わせてチェックして、自分の肌に合った商品を選んでみてください。
美肌プロの成分データベースならアゼライン酸の用途と安全性評価をそのまま確認できます。アゼライン酸配合とうたう製品を1本、パッケージの表示を見てみてください。「医薬部外品」「薬用」の文字がなければ一般化粧品です。海外での医薬品としての効能とは別のものだと分かります。
アゼライン酸は海外で医薬品として長く使われてきた成分です。日本では化粧品の成分として配合されていて、医薬品としての効能をそのまま期待できるわけではありません。ここを分けて読めるかどうかが、この成分といちばん付き合いやすくなるポイントだと思います。
「最近よく見かけるけど試してみようか迷っている」という方は美肌プロのデータベースで配合商品の全成分をチェックしてから選んでみてくださいね。
化粧品の全成分をチェックする
読み終わったら、気になる1本を検索してみてください。全成分と評価が一覧で出ます。