「市販の化粧品は肌に悪い成分だらけ」——SNSや口コミでそんな言葉を見かけて手元のボトルを裏返した経験はないでしょうか。全成分表示にはカタカナの成分名がずらりと並びます。どれが安心材料でどれが注意サインなのか、名前を眺めるだけでは見分けがつかず不安だけが残りますよね。
この不安に印象論で答えても意味がありません。そこで本記事では美肌プロに収録している市販化粧品1,066商品の全成分データを集計し、成分の毒性評価(A〜E)が実際にどう分布しているかを数字で示します。先に結論だけ述べると「危険な成分だらけ」ではありませんでした。ただし「すべて安全」と言い切れる分布でもありません。その実像を順に見ていきます。
ひとつ前提を明記しておきます。この評価は美肌プロが独自に付与しているものです。国の機関による公的な安全認定ではなく、評価軸が変われば分布も変わります。「美肌プロの物差しで測るとこう見える」という事実の提示として読んでください。
まず「成分の種類」ベースの分布です。1,066商品に登場した3,338成分を重複なしで数えると次のようになりました。

A評価が2,846成分で85.3%。B評価226成分(6.8%)を合わせると9割を超えます。C評価は261成分(7.8%)。D評価はわずか5成分(0.15%)。最も慎重寄りのE評価に該当する成分は今回の母集団にひとつもありませんでした。市販品に使われる成分の顔ぶれを種類で見るかぎり、大多数は低リスク寄りの評価に収まっています。
化粧品の全成分をチェックする
手元の化粧品も調べてみませんか。美肌プロ毒性評価が出ます。
次に「実際に何回配合されたか」という延べ配合ベースです。同じ成分でも100商品に入っていれば100回と数えます。消費者が店頭で出会う確率に近いのはこちらの見方です。

延べで見るとA評価は28,273件で78.3%。ユニークより約7ポイント下がり、代わりにB評価が5,401件(15.0%)へ倍増します。フェノキシエタノールや香料といったB評価の定番成分が多くの商品に繰り返し登場するためです。一方でC評価は2,396件(6.6%)と種類ベースより比率が下がり、D評価は23件(0.06%)。E評価は延べでも0件でした。
| 評価 | ユニーク成分数 | 構成比 | 延べ配合数 | 構成比 |
|---|---|---|---|---|
| A | 2,846 | 85.3% | 28,273 | 78.3% |
| B | 226 | 6.8% | 5,401 | 15.0% |
| C | 261 | 7.8% | 2,396 | 6.6% |
| D | 5 | 0.15% | 23 | 0.06% |
| E | 0 | 0% | 0 | 0% |
| 合計 | 3,338 | 100% | 36,093 | 100% |
2つの見方を並べると「種類としてはC評価が8%近くあるものの、実際の配合回数では7%弱に薄まる」という構図が読み取れます。メーカーが処方の中心に据えるのはA・B評価の定番成分です。C評価成分の出番は相対的に限られています。
今回の母集団で最も慎重寄りだったD評価は次の5成分です。どんな成分が該当したのでしょうか。
| 成分名 | 出現商品数 |
|---|---|
| POE・ジメチコン共重合体 | 13商品 |
| ポリリシノレイン酸ポリグリセリル-6 | 5商品 |
| ビスブチルジメチコンポリグリセリル-3 | 2商品 |
| ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)メチルポリシロキサン共重合体 | 2商品 |
| (PEG-45/ドデシルグリコール)コポリマー | 1商品 |
5つとも乳化やシリコーン系のポリマー(高分子)に属する成分です。名前は仰々しく見えますが役割は水と油を混ぜたり使用感を整えたりする支え役に近い存在です。
配合の実態も確認しておきます。最も多いPOE・ジメチコン共重合体でも13商品。母集団1,066商品に対して約1.2%です。5成分合計の延べ23件は全配合36,093件の0.06%にすぎません。つまりD評価成分との遭遇はごく限定的です。なおD評価は「使ったら危険」という判定ではなく、美肌プロの評価軸で最も慎重寄りに位置づけたという区分です。該当商品を使っている場合も配合量や使い方で条件は変わるため成分名だけで捨てる判断をせず各成分ページの解説と合わせて考えることをおすすめします。
C評価で出現数が多かった上位10成分は次のとおりです。
| 成分名 | 出現商品数 |
|---|---|
| トコフェロール | 464商品 |
| ステアリン酸グリセリル | 132商品 |
| ラウリン酸ポリグリセリル-10 | 71商品 |
| ポリソルベート20 | 61商品 |
| ポリソルベート80 | 57商品 |
| PEG-60水添ヒマシ油 | 50商品 |
| ステアリン酸PEG-100 | 49商品 |
| PEG/PPG-14/7ジメチルエーテル | 45商品 |
| ステアリン酸グリセリル(SE) | 45商品 |
| PEG-8 | 36商品 |
目を引くのは464商品と突出したトコフェロールでしょう。ビタミンEとして知られ酸化を防ぐ目的で広く配合されてきた定番中の定番です。「そんな身近な成分がCなの?」と意外に感じた方も多いはずです。
ここで「Cだから危ない成分」と短絡しないでください。長く広く使われてきた成分ほど検討すべき報告や論点も蓄積されるため評価が慎重寄りに置かれることがあります。上位10の顔ぶれも乳化剤・界面活性剤系が中心です。いずれも処方を成立させるために広く使われてきました。C評価は「要注意リスト」ではなく「AやBより検討材料が多い成分」くらいの距離感で捉えるのが実態に合っています。
集計から言えることを整理します。
成分をひとつ見つけて騒ぐのではなく分布と割合で眺める。それだけで化粧品選びの不安はかなり整理できるはずです。
本記事のD評価は「美肌プロの評価軸で最も慎重寄りに区分された」という事実を示すものです。使用の可否を決める判定ではありません。配合量・使う部位・肌質によって条件は変わります。気になる場合は該当成分のページと手持ち商品の全成分表示を照らし合わせ、判断材料のひとつにしてください。
A評価中心の商品はこの評価軸のうえでは低リスク寄りといえます。ただしA評価の成分でも肌に合わないことはありますし、B・C評価を含む商品が誰にでも問題を起こすわけでもありません。評価は選ぶための地図であって保証ではない——この距離感が大切です。
母集団は美肌プロ収録の1,066商品です。市販化粧品の全数調査ではないため業界全体の正確な縮図とは限りません。それでも3,338成分・延べ36,093配合という規模には市販スキンケアのおおまかな傾向をつかむのに十分な厚みがあると考えています。
本記事の数値は美肌プロの独自集計データです。当ページへのリンクを添えていただければ記事やSNSでの引用を歓迎します。
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