パラベンフリーをうたう化粧水やクリームの成分表示で見かける「カプリリルグリコール」。ヘキサンジオールやペンチレングリコールと似た仲間ですが、違いは何でしょうか。
美肌プロは商品の順位づけをしません。公開されているデータをそのまま示します。この記事ではカプリリルグリコールの正体と役割、安全性を正直にお伝えします。
カプリリルグリコールは炭素8個のアルキル鎖を持つ二価アルコール(1,2-グリコール)です。油脂をもとに作られる成分で両親媒性の性質から油性・乳化系の製品によくなじみます。
働きは大きく2つです。角層の水分を抱える保湿作用と、細菌やカビの増殖をおさえる防腐補助作用です。パラベンなどの防腐剤の配合量を減らす目的でよく使われます。
| 基本情報 | 内容 |
|---|---|
| 正体 | 炭素8個のアルキル鎖を持つ二価アルコール |
| 主な役割 | 保湿・防腐補助 |
| 配合量の目安 | 防腐補助効果0.125〜0.35%、安全性評価基準0.5%以下 |
| 主な使用製品 | メイクアップ・スキンケア・シャンプー・日焼け止めなど |
| 美肌プロ毒性評価 | A |
1,2-グリコール系の防腐補助成分は炭素数によって抗菌力が変わります。カプリリルグリコール(炭素8個)はMIC値0.4%で、次に挙げる2つの仲間より高い抗菌性を示すというデータがあります。
比較すると1,2-ヘキサンジオール(炭素6個)はMIC値1.6%、ペンチレングリコール(炭素5個)はMIC値6.4%で炭素数が多いアルキル基ほど抗菌性が高くなる傾向があります。一方で炭素数が多いほど油になじみやすくなるため水系製品では可溶化剤との併用が必要になる点が使い分けのポイントです。
本文で触れた抗菌力の違いを、炭素の数とあわせて表にまとめます。数値は最小発育阻止濃度(MIC)で、小さいほど少ない量で菌の増殖を抑えられることを意味します。
| 成分 | 炭素の数 | MIC値 | 持ち味 |
|---|---|---|---|
| ペンチレングリコール | 5 | 6.4% | 保湿寄りでおだやか |
| 1,2-ヘキサンジオール | 6 | 1.6% | 保湿と抗菌のバランス型 |
| カプリリルグリコール | 8 | 0.4% | 抗菌力は最も高いが油になじみやすく水系では工夫が要る |
成分表示でこの3つのうち2つ以上が並んでいることもあります。抗菌力と水へのなじみやすさを補い合う組み合わせとして併用されるためです。ただ並んでいるだけで防腐剤の量が少ないとまでは読み取れません。
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カプリリルグリコールは105名を対象にした0.5%以下の濃度でのHRIPT試験で皮膚刺激および感作の兆候はみられませんでした。眼刺激性についても、HET-CAM法による試験で非刺激剤に分類されています。
| 評価項目 | 内容 |
|---|---|
| 皮膚刺激性 | 105名HRIPT試験(0.5%以下)で兆候みられず |
| 皮膚感作性 | 同試験で兆候みられず |
| 眼刺激性 | HET-CAM法(3%以下)で非刺激剤に分類 |
| 使用実績 | 20年以上 |
正直にお伝えするとこれらのデータは0.5%以下の濃度が前提です。それより高い濃度で肌にどう出るかは、参照した資料からは確かめられませんでした。
カプリリルグリコールは防腐を助ける成分で油になじみやすい性質があります。この性質が組み合わせの制約になります。
| 組み合わせ | 理由 |
|---|---|
| フェノキシエタノールなどの防腐剤 | 防腐剤の量を減らす目的で組む |
| 1,2-ヘキサンジオール | 同じ1,2-グリコール系。抗菌力と水への溶けやすさを補い合う |
| スクワランなどの油性成分 | 両親媒性なので油性成分を含む乳化系の処方になじみやすい |
| ポリソルベート類などの可溶化剤 | 油になじみやすいぶん、水の多い処方ではこの助けを借りて溶け込ませる |
成分どうしで避けたい組み合わせは参照した資料には出てきませんでした。気をつけたいのは組み合わせより使い方のほうです。水だけの処方には溶け込みにくいこと、安全性データが0.5%以下を前提にしていること。この2つは押さえておいてください。
成分表示でこの成分を見つけたらほかに「グリコール」「ジオール」の付く名前がないか探してみてください。防腐を複数の成分で分担している処方かもしれません。
カプリリルグリコールにリスクが高いというデータは出ていません。ただ、次に当てはまる方はカプリリルグリコールの表示を見ておくと判断しやすくなります。
いずれでもなければ0.5%以下で防腐を助ける成分、という理解で十分です。
Q. カプリリルグリコールは肌に悪くないですか?
A. 105名のHRIPT試験で刺激も感作も兆候が出ていません。ただし試験は0.5%以下が前提です。濃度の管理が効いている成分です。
Q. ヘキサンジオールとどちらが優れていますか?
A. 単純な優劣ではありません。カプリリルグリコールのほうが抗菌力は高い傾向にありますが、製品の処方全体によって使い分けられています。
Q. パラベンより安全ですか?
A. 役割が異なるため単純比較は難しいです。カプリリルグリコールは防腐を補助する成分であり、単体でパラベンの代わりになるほどの防腐力は持ちません。
カプリリルグリコールが成分表示のどこにあるか、例で見てみます。
水、BG、グリセリン、スクワラン、トコフェロール、
カプリリルグリコール、フェノキシエタノール、香料
↑ここ
成分表示に「カプリリルグリコール」があればこの記事で紹介した保湿・防腐補助の成分です。1,2-ヘキサンジオールやペンチレングリコールと並んで書かれることも多くあります。
美肌プロの成分データベースではカプリリルグリコールの詳細と安全性評価を確認できます。パラベンフリーの化粧水やクリームの表示と照らし合わせてみてください。
パラベンフリーの1本を手に取って「グリコール」「ジオール」で終わる成分を数えてみてください。2つ以上あれば、抗菌力と水へのなじみやすさを補い合う組み合わせとして入っている可能性があります。
美肌プロは防腐を助ける成分を「隠れた防腐剤」とは呼びません。「パラベンフリー」は無防備という意味ではなく、守り方が置き換わっただけです。
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