乳液やクリームの成分表示で見かける「ベニバナ種子油」。名前から紅色を想像したり、料理用のべに花油を思い浮かべたりしますよね。その連想で合っています。原料はスーパーの油売り場に並ぶべに花油と同じ植物の同じ部位です。
ただし化粧品の表示はひとすじ縄ではいきません。同じ油が「サフラワー油」と書かれることもあり、「ハイブリッドサフラワー油」という別の表示名称まであります。美肌プロは名前の印象に流されず判断できる材料を並べます。この記事では名前の整理と化粧品での役割、安全性の考え方まで迷わず読めるように整理しました。
ベニバナ種子油はキク科の植物ベニバナ(紅花)の種子からしぼった植物油です。リノール酸を多く含み、軽くさらっとした感触が持ち味。肌になじみやすく、うるおいを与えて乾燥を防ぐエモリエント成分として使われます。
出番が多いのはクリームや乳液、マッサージオイルなど油分を含む製品です。
| 基本情報 | 内容 |
|---|---|
| 正体 | ベニバナ(紅花)の種子からしぼった植物油 |
| 分類 | 植物オイル(エモリエント剤・保湿・整肌の目的で配合) |
| 主な役割 | うるおいを与える・乾燥を防ぐ・肌をやわらかく保つ |
| 主な使用製品 | クリーム・乳液・マッサージオイルなど |
| 美肌プロ毒性評価 | A |
成分の国際的な名前(INCI名)を見ると話が早いです。ベニバナ種子油とサフラワー油のINCI名はどちらも「Carthamus Tinctorius (Safflower) Seed Oil」。サフラワーはベニバナの英名でメーカーによって日本語の表示が分かれているだけです。指している油は同じもの。
一方「ハイブリッドサフラワー油」は別の表示名称です。オレイン酸が多くなるよう品種改良されたベニバナから採る油。成分としては別物として扱われます。ちなみにいま食用として売られているべに花油はこのハイオレイックタイプが主流です。なお「ベニバナ油」「紅花油」という表示名称は化粧品には存在しません。見かけるとしたら食用油の呼び名です。
| 表示名称 | 中身 |
|---|---|
| ベニバナ種子油 | この記事の成分。INCI名は Carthamus Tinctorius (Safflower) Seed Oil |
| サフラワー油 | 同じINCI名を持つ同じ油。日本語表記が違うだけ |
| ハイブリッドサフラワー油 | オレイン酸が多い品種から採る油。別の表示名称として登録 |
| ベニバナ油・紅花油 | 化粧品の表示名称には無い。食用油の呼び名 |
名前に紅とつくと色がつきそうな気がしますよね。紅花は古くから口紅や染め物の「紅」の原料として栽培されてきた植物です。山形県の県花にもなっています。ただあの紅色は花びらの色素の話です。
化粧品のベニバナ種子油は種子からしぼった油で紅の色素はほとんど含まれません。色は淡い黄色程度なので肌が赤く染まる心配は無用です。花由来の「ベニバナ花エキス」や黄色の色素「ベニバナ黄」は別の成分として登録されています。名前の紅に引っぱられないでください。
働きの軸はシンプルです。軽い感触のエモリエントオイル。主な働きは3つです。
油分が肌の表面にとどまり、水分の蒸発を防ぎます。エモリエント剤の基本の働きでベニバナ種子油が配合される一番の理由です。
ごわつきがちな肌に油分を補い、やわらかくすこやかに保ちます。乾燥する季節のクリームで頼りになる役どころです。
リノール酸が多い油は重さが出にくく、さらっとなじみます。オイルのべたつきが苦手な方でも取り入れやすい感触面の強みです。
化粧品の全成分をチェックする
手元の化粧品も調べてみませんか。美肌プロ毒性評価が出ます。
美肌プロの毒性評価はAです。食用として長い歴史のある植物油で化粧品でも広く使われてきました。通常の化粧品に配合される濃度で問題となる報告は調べた範囲では出てきませんでした。
ひとつ知っておきたいのは酸化のこと。リノール酸が多い油は酸化に強いタイプではありません。製品側ではトコフェロールを一緒に配合するなど酸化を防ぐ工夫が一般的です。開封後に何年も置いた製品を使い続けるのは油の鮮度の面でおすすめしません。
| 評価項目 | 内容 |
|---|---|
| 美肌プロ毒性評価 | A |
| 皮膚刺激性 | 一般に低い部類 |
| 皮膚感作性 | 一般に低い(まれに植物アレルギー) |
| データの充実度 | 食用・化粧品ともに使用実績が豊富 |
| 注意点 | リノール酸が多く、酸化に強い油ではない |
キク科の植物でアレルギーが出たことのある方は念のためパッチテストを済ませてから使ってください。
ベニバナ種子油は軽い感触の油性成分です。組み合わせの考え方もこの性質が出発点です。
| 組み合わせ | 理由 |
|---|---|
| トコフェロール | 油の酸化を防ぐ目的で一緒に配合される定番の相棒 |
| グリセリンやBGなどの保湿成分 | 水分を与える成分と油分でうるおいを守る役割分担ができる |
| スクワランやホホバ種子油などのオイル | 感触を調整しながらエモリエントを補い合う |
| 組み合わせ | 理由 |
|---|---|
| グレープシード油などリノール酸が多いオイル | 悪い組み合わせではないが、酸化しやすい油同士なので開封後は早めに使い切りたい |
| 香りの強い精油類 | 油同士はなじみが良いぶん香りが残りやすい。香料に敏感な方は重なりに注意 |
最後に油の扱いについて。酸化の話は製品を避ける理由ではありません。未開封のまま長期間ためこまない、開封したらワンシーズンを目安に使い切る。この心がけで十分付き合える成分です。
そうでなければ食卓でもおなじみの植物の油として、気負わずに受け止めて大丈夫です。
Q. 料理用のべに花油を肌に塗ってもいいですか?
A. 同じ植物の油ですが、食用と化粧品用では精製の基準や品質管理が違います。肌に使うなら化粧品として設計された製品を選んでください。
Q. 「サフラワー油」と書いてある化粧品は別の成分ですか?
A. INCI名が同じで中身は同じ油です。日本語の表示名称がメーカーによって分かれているだけ。「ハイブリッドサフラワー油」だけは品種が違う別の表示名称です。
Q. 敏感肌でも使えますか?
A. 一般に低刺激な部類の植物油です。ただしキク科植物のアレルギーがある方はまれに反応が出ることもあります。気になるならパッチテストで確かめてください。
全成分表示ではこう並びます。
水、グリセリン、BG、スクワラン、
ベニバナ種子油、トコフェロール、フェノキシエタノール
↑ここ
「ベニバナ種子油」か「サフラワー油」とあればこの記事の油です。「ハイブリッドサフラワー油」は品種違いの仲間。オイル美容液のように油が主役の製品では表示の前のほうに、乳液やクリームでは中ほどに登場します。
美肌プロの成分データベースならベニバナ種子油の用途と安全性評価をそのまま確認できます。手元の乳液やクリームの全成分表示と見比べてみてください。
美肌プロは「食用だから安心」を肌での根拠にしません。台所でのなじみと肌での役割は別の物差しで見てください。
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