成分表示で見かけるPEGにはうしろに数字が付きます。PEG-8、PEG-150、ポリエチレングリコール6000。
この数字は飾りではありません。小さいものはサラサラの液体、大きいものはロウのような固体です。同じ名前で呼ばれていても製品の中でやっている仕事が違います。
数字そのものが何を表すかは PEG(ポリエチレングリコール)の記事で解説しています。ここでは数字が大きい側だけを扱います。
資料に、分子量ごとの性質をまとめた表がありました。抜き出します。
| ポリエチレングリコール | 粘度(mm²/s) | 吸湿性 |
|---|---|---|
| 300 | 5.0〜6.2 | 高い |
| 1000 | 17〜20 | ↓ |
| 6000 | 700〜900 | ほとんどなし |
| 20000 | 11,500〜15,000 | ほとんどなし |
300と20000で粘度は2000倍以上ひらきます。数字が大きくなるほどねばりが強くなり、やがて流れなくなる。ここが「増粘剤」と呼ばれる理由です。
逆の動きをするのが吸湿性です。小さいものほど水を抱え込みやすく4000を超えるとほとんどなくなります。保湿を期待して選ぶなら小さい側、質感を作りたいなら大きい側、という住み分けになります。
ポリエチレングリコール6000はこの表のとおりロウのような固さを持ちます。スティック状の製品や練り状の化粧品で形を保つために使われます。
同じ成分なのに、製品の区分で書かれ方が変わります。
| 製品の区分 | 書き方 |
|---|---|
| 化粧品 | PEG-150、PEG-30 のようにハイフンつき |
| 医薬部外品 | ポリエチレングリコール6000、PEG(30) のように数字が大きいか括弧つき |
ややこしいのは2つの数字が別の物差しで付けられている点です。医薬部外品側の数値は平均分子量をそのまま表しますが、化粧品側の「PEG-○」は違う数え方をします。だから同じ成分でも数字が一致しません。
「PEG-150」と「ポリエチレングリコール150」は別のものを指します。数字だけで見比べない。これがこの成分を追うときの注意点です。
肌ではなく製品の中身に対する保水です。乳化系や可溶化系の安定を保つ目的で配合されます。中身が分離したり、水が飛んでしまうのを防ぐ側の仕事になります。
これが面白いところです。パウダー系のメイクアップ製品では粉を皿状の容器に圧縮成型するときのつなぎになります。
目的は2つ。粉どうしのくっつきをよくすることと使うときに粉が周囲へ飛び散るのを防ぐことです。パウダーファンデを筆で取ったときに舞い上がりにくいのは、こうした成分が入っているからです。
水によく溶けるので水になじむ土台としても使われます。とろみを出しながら他の成分を溶かし込むという役回りです。
化粧品の全成分をチェックする
手元の化粧品も調べてみませんか。美肌プロ毒性評価が出ます。
PEG-150について、資料はこう報告しています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 日本薬局方 | 収載 |
| 医薬部外品原料規格2021 | 収載 |
| 使用実績 | 50年以上 |
| 皮膚刺激性 | ほとんどなし(詳細な試験データなし) |
| 皮膚感作性(アレルギー性) | ほとんどなし(詳細な試験データなし) |
| 眼刺激性 | データが見あたらず詳細不明 |
50年以上使われてきて重大な皮膚刺激やアレルギーの報告は見あたりません。ただし詳細な試験データも見あたらない。眼刺激性にいたっては、判断する材料がない状態です。
美肌プロの毒性評価は数字ごとに分かれています。
| 成分 | 美肌プロ毒性評価 |
|---|---|
| PEG-150 | A |
| ポリエチレングリコール1000 | B |
| PEG(30) | B |
| ポリエチレングリコール6000 | C |
4つのうちAが1つ・Bが2つ・Cが1つ。同じ系統でもそろっていません。「PEGだから」とまとめて判断できないことがこの一覧から読み取れます。
なお、いずれも旧表示指定成分には該当しません。
水になじむ側の成分なので油と組むときは仲立ちが要ります。
| 組み合わせ | 理由 |
|---|---|
| 水 | よく溶ける。水になじむ土台として組む |
| 粉体原料 | 圧縮成型のつなぎとして働く |
| 数字の小さいPEG | とろみと保湿を分担できる |
参照した資料に、避けるべき相手の記述はありませんでした。
空欄のままにしておきます。根拠なく書けば、読む方の判断を狂わせるだけです。
「PEG-」で始まる名前と、「ポリエチレングリコール」で始まる名前の両方を見ます。
【化粧水(化粧品)の例】
水、BG、グリセリン、PEG-150、PEG-30、
クエン酸Na、フェノキシエタノール
【薬用クリーム(医薬部外品)の例】
精製水、濃グリセリン、ポリエチレングリコール6000、
ステアリルアルコール、グリチルリチン酸2K
成分表示は配合量の多い順に並ぶのが原則です。ただし1%以下の成分は順不同でよいことになっています。とろみ付けは少量で効くので後ろのほうにあっても役割は小さくありません。
A. 逆です。資料の表では数字が大きくなるほど吸湿性は下がり、4000を超えるとほとんどなくなります。
大きい側の役割はとろみと質感づくりです。保湿を担うのは小さい側になります。
A. 同じではありません。化粧品と医薬部外品で数字の付け方が違うため数値が一致していても別の大きさを指します。
見比べるときは、名前の形もあわせて確認してください。
A. 参照した資料に、肌への残留についての記述はありませんでした。ここは分かりません。
言えるのは、日本薬局方に収載され50年以上使われてきて、重大な報告が見あたらないことまでです。
美肌プロの成分データベースには数字ごとに別のページがあります。
👉 ポリエチレングリコール6000の成分詳細・安全性評価を見る
手持ちの化粧水とクリームでPEGの数字を見比べてみてください。とろみの違いの理由が、そこに書かれています。
数字はただの記号ではなく、性質そのものを表しています。そこを読めるようになると同じPEGでも見え方が変わります。
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読み終わったら、気になる1本を検索してみてください。全成分と評価が一覧で出ます。